糖尿病患者様の歯科治療
日本糖尿病協会認定歯科医師
糖尿病患者さんへの歯科治療の研修 参加・修了
糖尿病患者さんの歯科治療の3つの留意点
糖尿病患者さんが歯科受診をするときに注意する点が三つあります。
第1点は、感染しやすいことです。歯科治療、特に抜歯においては口腔内常在菌などが血管内に入り菌血症が生じることが往々にしてあります。
健康な人出は無症状に過ぎてしまいますが糖尿病がある場合は、特に重症化することもあります。
ただ、すべての糖尿病患者さんが危険なわけではありません。
危険になるのは血糖コントロールが上手くいってない場合です。
日本糖尿病学会では「合併症予防の観点からヘモグロビンA1cの目安を7%未満とする」という目標を発表しています。
当院ではこの値を治療するかどうか?のひとつの目安にしています。
また、血糖コントロールが良好な場合でも観血的処置の際は抗菌薬の投与を十分に行うことと術後消毒を行って感染予防に努
めることが必要と判断しています。
第2点は、傷が治りにくいことです。
糖尿病では高血糖による血流障害や神経障害などによって傷が治りにくくなります。
日常生活で生じる小さな怪我や虫刺されでも健康な人と比べて治療に時間がかかりますので、抜歯や歯周病・インプラントの手術などでは治療に時間がかかることを予想して治療計画を立てる必要があります。
第3点は、歯科疾患や治療により血糖値が大きく変動する可能性があることです。
歯や歯肉が痛くて食事がとれない場合は、血糖値が低くなります。
また、歯科治療中に受けるストレスや麻酔注射によって血糖値が上昇すると言われています。
さらに、血糖値の上下に起因して、高血糖や低血糖の陥り昏睡状態になる可能性があります。
歯科診療を受けるときは食事直前の時間帯を避け、食事を摂取した時間と糖尿病治療薬の使用に注意してください。
具体的なことは当院にご相談ください。
歯科治療時の注意点
①血糖値のコントロールをしっかり行いましょう。
②治療の前は必ず食事をとりましょう。
③治療当日は、インスリンや血糖降下薬はいつもどおりに飲んできてください。
④低血糖発作を起したときのために、ペットシュガーや糖分がたくさんはいったジュースをお持ち下さい。
糖尿病患者さんの歯科治療前後にお願いしたいこと
①糖尿病の患者さんは感染を起しやすく、腫れが広がりやすいので、感染を予防するため処方された抗菌薬(抗生剤)は必ず歯科医師の指示通り最後まで飲んで下さい。(処置前からお飲みいただくこともあります。)
②処置の内容によっては、通常よりも何回か多く傷口の消毒に通っていただくことがあります。
感染予防のためにご協力をお願いします。
*普段のケアがとても大事です!
糖尿病の患者さんは、細菌感染に対する抵抗力が弱くなり、歯周病になりやすく炎症も治りにくいので、ふだんから歯みがきをていねいにし、定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらいましょう。